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勉強会 〜対話編〜

she-sow(シーソー)は2021年10月に、宮城県仙台エリアで人道的な支援をおこなっている市民活動団体を紹介するマップ「おとなりさんに会いに行く ~困ったときに頼れる場所を調べてみよう編~」を作成しました。
「おとなりさんの声を聞く 〜対話編〜」は、日々支援の現場で困難を抱えている方と接している市民活動団体の皆様の声をお聞きして、行政に求めることや、立場の違う人たちがどうすれば連携していけるのかなど、意見交換したいという思いから作った対話の場です。

今回のゲストは、マップにもご協力いただいた、仙台で困窮者支援をおこなっている「フードバンク仙台」、「キミノトナリ」、「キッズドア」3つの市民活動団体の方々と、中間支援団体の「せんだい・みやぎNPOセンター」の方、長年地域医療に携わってきた医師でNPOにも理解が深く、今回県知事選に立候補した長純一さん、以上5名の皆さんです。

市民活動団体、中間支援者、医師という異なる立場の人たちで、
「弱い立場におかれた人たちが取り残されることなく、この街で支え合って生きていくにはどうしたらよいか」
ということについて対話を深めることができました。
ゲストの皆様にはたいへんお忙しいなか貴重なお話を聞かせていただき、心から感謝いたします。
シーソーは、こうしたさまざまな立場の方との対話や勉強会を今後も続けていく予定です。

参加メンバー:前野久美子・工藤夏海・西川千花子

※なお、この会の参加者および団体は、特定の政党や候補者を応援するものではないことをあらかじめご了承ください。

ゲストのみなさん

フードバンク仙台

「食で笑顔をつなぐ。「生きる」を支え合う」を掲げ、新型コロナの流行をきっかけに結成。生活困窮世帯に無償で食料を届け、生活の困りごとを解決できるよう必要な情報提供を行う、市民共助による有志の団体。昨年5月から今年の9月末まで延べ1万人に食料を配布。
おもに外国人留学生、ひとり親世帯、路上生活者、災害被災者や、行政・各種相談機関・病院などで支援している、食の支援が必要な方々を対象に、1回の配布で1人につき1週間分の食料品を提供している。
https://foodbanksendai.com/

特定非営利活動法人キミノトナリ

2019年より「赤ちゃんポストと子どものいのちを考える会@sendai」として講演会や勉強会を重ね、2020年に「特定非営利活動法人 キミノトナリ」設立。「にんしんSOS仙台」として思いがけない妊娠をした女性を対象に、助産師をはじめ、弁護士、社会福祉士、保育士、臨床心理士、キャリアコンサルタントなどの有資格者や、相談支援業務の経験者が直接支援にあたる。包括的性教育の促進に向け、性教育の出前授業も実施。
https://kimitona.net/

特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター

東北から新しい市民社会をつくるため、NPO・自治体・企業・大学等と連携し社会課題・地域課題の解決に向けて活動を行う。協働によるまちづくり推進し、まちづくりの担い手である多様な団体が連携・交流する機会を提供するほか、市民活動に関するイベントやボランティア募集に関するチラシ、ポスター、ニュースレター、パンフレットなども設置する。団体の立ち上げや情報収集、さまざまな団体とのマッチングの相談にも対応する。
https://minmin.org/

長 純一 (ちょう じゅんいち) さん

前石巻市立病院開成仮診療所長・石巻市包括ケアセンター長
石巻じちれん理事
前東北大学医学部臨床教授・東北医科薬科大学医学部臨床教授・熊本大学非常勤講師
NPO法人 在宅ケアを支える診療所・市民ネットワーク 理事
地域医療研究会世話人
日本保健医療福祉連携教育学会理事
宮城の認知症をともに考える会世話人
http://chojunichi.com/

認定NPO法人キッズドア東北事業部

家庭の経済的な理由により塾に通えない中学生・高校生の学習サポート、居場所づくり、体験活動、企業と連携したキャリア教育、アドボカシー活動など。団体全体では、例年約2000人の子どもたちが通所しています。コロナ禍以降は全国2500世帯とつながり、定期的な情報支援や食糧・物資支援も行う。学習会に通っていた子どもたちが、大学進学や就職をしてボランティアとして参加するなど貧困の連鎖を断ち切る事例も出ている。
http://kidsdoor-fukko.net/ 

「困ったときに頼れるお隣さんのイメージ、第一歩は相談窓口を一挙掲載したマップ作成」シーソー

前野 お忙しい中をお集まりいただきありがとうございます。長さんには選挙戦の真っただ中、駆けつけて下さり、感謝申し上げます。私は夫と二人でブックカフェを経営して21年になりまして、お店では政治や社会を考える会や音楽ライブなども開催しています。シーソーでは市民活動団体の方々との連携や実務、勉強会のコーディネートなどを担当しています。

工藤 美術家です。喫茶ホルンを経営しています。「おとなりさんに会いに行くプロジェクト」は、市民活動を行っている団体や行政の窓口などをまとめたいということになり、スタートしました。その中で私はマップ制作や、ワークショップの企画などを担当しています。

西川  代表を務めています。ウェブサイトの構成やSNSでの発信なども担当しています。困難な状況が長引いているなか、一人ではどうしようもない状況になったときに助けてくれる、相談できるところがあるということを皆さんにもっと知ってもらえたらと思い、市民活動の団体や行政の窓口をまとめたマップをつくりました。現在困っている人はもちろん、明日は我が身、これから私たちも必要になるときがくるかもしれないと先を見据えて活動しています。
今後は、各種市民団体の協力をいただきながら、インタビューなどを通してより掘り下げ、活動の輪を広げていきたいと思います。シーソーの活動を通じて市民一人一人が社会と向き合い、助け合う空気を生み出していけたらと思いますし、一人ひとりにも力があることに気づいてほしいです。「私たちには声を上げる権利があり、社会は変えられるんだよ」と伝えたいです。そのためには声を上げる方法についても模索していきたいです。消費行動ひとつをとっても実は社会運動に繋がっていると言えると思います。くらしと政治はひと続きなので、政治アレルギーみたいなものを和らげるアクションもしていきたいです。さまざまな市民活動をつなぎ、応援していくことで、社会に対して発言し、行動する市民が一人でも増えたら嬉しいです。

「東日本大震災とコロナ禍で疲弊する市民、市民活動と連携し、いのちと未来を守りたい」長純一さん

 私は学生時代に環境問題や人権問題などに取り組む人たちと出会いました。そこで、僻地医療で先駆的存在の若月俊一さんに憧れ、長野県の佐久総合病院で働くようになったのです。
もう一人影響を受けたのが、市民活動のつなぎ手として有名な社会運動家の色平哲郎氏。私はその色平氏について環境問題とかマイノリティの問題などに取り組み、その中で阪神淡路大震災の復興にも携わりました。

そうした中で、私はとくに震災のような非常時に行政が果たす役割は、とても大きいと感じるようになりました。そこで東日本大震災の際は、行政の中に入り、政策に関わることで被災された方のお役に立ちたいと考え、石巻の支援に入ったのです。

真っ先に課題となったのは、住民自治をどう支援するか。被災地には大勢のボランティアが入りました。ありがたいことですが、その対応には大変なエネルギーが必要でした。海外では災害支援のプロが行うことを石巻では被災している当事者が復興支援をしなければならないという状況です。それを少しでも改善できればと思い、私は行政と住民やボランティアの間に入り、バッファーのような役割をしました。
私が関わった地域医療においてもボランティア、町内会などと連携し支援の仕組みづくりにも取り組みました。
行政のやれないところをやるのが、NPOではありませんが、現場ではNPOの役割は極めて重要です。そういう点で皆さんのように社会問題を考え行動される方々の存在は大変ありがたいです。本来はもっと行政がしっかりすべきですが、財政が厳しい状況にあります。
私自身もある時は医師として、ある時は行政として「地域医療に携わってきた立場」からさまざまな場面で調整役ができればと考えています。
私は医師ですが、皆さんが感じられていることと同じようなことを感じ、行動してきているので、皆さんと非常に近い立ち位置にあり、今後パートナーシップを築くことができると思います。

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「困窮世帯への食糧宅配支援。コロナ禍による貧困は全く終わっていない」

フードバンク仙台/川久保尭弘さん

昨年5月発足した、食品ロスを減らすために企業や行政や団体、市民などからまだ賞味期限が切れていないのに捨てられてしまうような食品を無償で提供してもらい、経済的に困窮している人に無料で配布する団体です。基本的に仙台市内の世帯を中心に、昨年5月から今年の9月末まで延べ1万人に食料を配布しています。1回の配布で1週間分です。世帯人数に合わせて、その中に乳幼児がいればミルクを提供したり、アレルギーにも配慮したりしながら行っています。

私たちは支援した延べ1万人の全員の方にかなり詳細なアンケ―トを実施しています。3月末に発行した昨年5月から今年3月までの活動報告書をもとにお話ししますが、全体的な傾向としてはコロナにおける困窮の実態は、報道されているよりももっと深刻です。世帯構成は、38%が外国人留学生、残りが日本人です。年齢では28%が18歳以下になっています。これは親が支援依頼して、その世帯の中に子供が含まれているということです。また7割が30才以下です。
困窮の理由は、コロナ禍で失業、休業、シフトの減少などです。休業手当を払うことは法律上の義務なのですが、会社が非協力的で休業手当が出ないというケースが支援依頼の中にはよく見られます。業種としては飲食、警備、建設関係が多く、雇用形態では非正規が多いです。依頼する人の6割が他の機関に相談をしていないと回答しています。多くの方は、テレビやクチコミで知って依頼してきます。
生活状況としては、1カ月の世帯収入10万円以下が8割、38%が無収入です。実際には世帯の人数が増えると必要な生活費は高くなるので、それも加味するとおおよそ9割が生活保護寄りレベルか、もしくはそれより低い状況で暮していると思われます。所持金はほぼゼロが6割ぐらいです。5000円、3000円、200円、20円など本当にゼロ付近です。3日間食べていない、水しか飲んでいないという人もいます。食料が無くて献血に行って食べ物をもらったという人もいました。

このように命の危険を感じさせる状態の方もかなり多くいます。具体的なケースでは、シングルマザーで飲食店で働いていたがコロナによってシフトが大幅に減ってしまい3人の子供に食べさせるために1日1回しか食べていないという相談や、40代一人暮らしの男性で派遣先から解雇されて、本来ならコロナ特例で失業保険の給付が延長されるのに会社が認めないため、失業保険が終わり、1日1個卵とカップラーメンを食べて1ヵ月となっていたという相談がありました。この男性の方は持病もあったのですがお金がなくて通院もできず薬も飲めず、一時は生活していくことに絶望しかけていました。
水道が止められて公園の水を飲んでいますという人も把握しているだけで2~3人いました。
全体的にみて、食料危機と、健康破壊と貧困がセットになっている状況だと思います。

それに対して行政の対応は行き届いているとは残念ながら言えません。今にもふらふらになって倒れそうなのに、既存の制度の仕組みが機動的でないという問題もあります。
社協の貸し付けの審査に時間がかかったり、生活保護の申請はしたけど審査と保護費の支給に1か月近くかかりそれまで食べるものがないのでもらいたいというケースもありました。
そもそも「返済しないと」と無理して働く人が出てくるため、「貸付」自体がかえって貧困を深めてしまう場合があります。「震災の津波で家を流されて貸付を受け、その時にも苦労したからコロナ禍でもお金を借りたくない」という人もいました。貸し付けは社会保障の代替にならないと言えます。
また返済のために焦って就職先を選び、意にそぐわない劣悪な労働条件で働いた結果、心身の健康を壊してより貧困を深めてしまうこともあります。

このコロナ禍で、国も地方自治体も困窮者に対する支援の大きな割合を貸付によって対応したのですが、それでは先ほど述べた観点から、十分な社会保障とは言えないと思います。これからの政治には貸付ではない普遍的な給付型の支援の拡充を求めたいと思います。

コロナの感染者が減っていても、給料がすぐに元通りになるわけではないのです。例えば、コンビニの仕事にも他の業種の失業者が殺到して、日本人学生や外国人留学生の仕事も減っています。おそらく他の業種でもこうした競争の中で労働条件が悪化しているのではないかと危惧しています。働けるからそれでいいだろうと思われるかもしれませんが、無理に働いて心身を壊せばそれ以降働くことが難しくなり、かえって貧困を深刻化させ、固定化させる結果になることもあります。

コロナ禍で拡大した貧困に対応するため、行政職員に福祉の専門職をもっと多く採用するようにすることも重要だと思います。貧困支援では、それを担う人の知識や姿勢によって当事者への制度利用のアドバイスの質が大きく変わります。行政にはぜひこうした専門性を持って欲しいと思います。困窮者支援団体が行政と連携するにしても、行政に専門的な見解を持った人がいると話が通じやすくなり、支援の質が高まります。

また、フードバンク仙台は宮城県から年間100万円の活動費をいただいているのですが、食料寄付だけでは不足した食料の購入費だけで350万円かかり、活動費が全く足りない状況です。コロナの新規感染者が現時点で大きく減少している中、コロナが「終わった」ことにされ、今後国全体でコロナ対策の予算が減らされないか危惧しています。コロナ感染者が減ってもすぐに状況が改善するわけではないので、支援を減らすことはまずいと思います。政治にはこうした論点についても考えていただきたいと思います。また、地方自治体の予算にも限界があるため、地方自治体の社会保障に必要な予算の充実を求める要望書を、県と現場の支援団体が連携して国に提出するということをやっても良いのではないかと考えています。

長さん「行政に福祉の専門職を配置し、困窮する方々に包括的で伴走型の支援を」

 コロナ対策も直接のコロナ対策事業だけでなく、困窮している方々の支援も含めて、心身の医学的なことを理解した上で伴走型の包括的な支援ができるようにすることが重要と考えています。
コロナの影響を受けた人々は、心身の健康を害している場合も多いので、医療的な支援が必要になる場合もあります。また、医師が発信することで社会的なメッセージにもなると考えられます。
さらに介護士、教育関連のネットワークとか、さまざまな分野の専門家とコラボすることで、支援の質が上がる部分がたくさんあると思います。

また、市町村の多くに福祉の専門職がおらず、事務職が福祉を担当するケースがほとんどです。高齢者の介護に対して包括センターがありますが、その7割が委託で専門職がいないのが現状です。
必ずしも社会福祉士の資格を持つ人でなければというわけではありませんが、福祉の専門職が行政にいないことは非常に問題です。
ヨーロッパの国々の多くは行政に福祉の専門家を配置しています。宮城県としてもやっていくべきだと思います。補助金を付けて、福祉系の大学などとコラボしながら質の高い福祉を行っていくのが県の役割と考えます。

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「にんしんSOS 予期せぬ妊娠を入口に、増加する生活困難者」

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特定非営利活動法人キミノトナリ/東田美香さん

これまで142人から相談を受け、実際に妊娠していたのは半数弱、そのほとんどが「予期せぬ妊娠」です。親に頼れない、パートナーがいない、父親が特定できないケースも。虐待家庭で育った方も多く、自分の家族が早くほしいという願望を持つ傾向があります。
生むことになった場合は困窮することも多く、そのため生活保護や住居支援につなぎます。スタッフには社会福祉士、助産師もいますが、社会福祉の知識を要することが多く、私も社会福祉士の資格をとりました。

そこで感じるのは、子どもにお金を掛けないことで、いかに経済的損失が大きくなるかということです。
成育環境に関わらず、子どもたちが適切な教育を受け、ロールモデルとなる大人とめぐり会えば、”よき納税者”となる可能性が高まります。長い目で見れば確実に経済的なメリットがあります。
もちろん経済のことだけでなく、目の前にいる子どもたちがいかに楽しくハッピーに大人になれるかかが重要です。
宮城県では、少子化対策としてAIによるマッチングシステムを使った結婚支援センターを開設しましたが、困っている子どもたちに目を向けずして少子化対策ができるはずがありません。
政治に求めるのは、子どもにお金をかけてほしいということです。
あとは、妊娠、出産に費用がかかりすぎます。今、県内で、自宅分娩で搬送される人が増えています。なぜ自宅分娩になっているのか議員の皆さんはわかっているでしょうか。
死亡事例がないからラッキーと見過ごさないでいただきたい。妊娠は健康保険の適用外ですから、病院に行くお金がないのかもしれないのです。妊娠、出産に係る費用は保険を適用させる。できれば無料にする。少子化なのですから最低限これは実現しなければと思います。

長さん「少子化対策の一環として妊娠・出産を助成し、社会的養護を強くする必要があります」

 少子化の中で子どもが生まれることは本来ありがたいことです。しかし、経済的に厳しい方にとって妊娠・出産はさらに大きな負担となるため、出産をためらうこともあるはずです。そうした中で、妊娠、出産に関わる費用にお金を出すのは、「安心して出産してください」といったわかりやすいメッセージになると思います。
実現するのはそう簡単ではありませんが、取組むべき課題と考えます。

加えて、いわゆる社会的養護をもっと強くしなければならないと考えます。さまざまな事情を抱える方がいますので、そうした子育てに困難を抱えるお母さんの代わりに社会がどう支えていくのか、養子縁組や、その後のフォロー体制など仕組みを考えていかなければならないと考えています。
その問題の解決には基本的に学校だけでは困難です。多彩な支援を考えていく。妊娠、出産というだけでなく、幅広い視点で関わっていくことが必要です。
さきほど社会福祉士の資格を取得されたと言われていましたが、非常によいことだと思います。今の時代、社会福祉士が医療福祉の視点を持つことは、地域づくりにとって重要と考えています。

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「学習支援を通して、困窮する子どもを支援する中で見えてきたもの」

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認定NPO法人キッズドア東北事業部/對馬良美さん

裕福な家庭の子どもほど学力が高く、進学率が高いことは皆さんご存知かと思います。お金があれば学力が高くなるということではなく、経済的に安定していれば、日常の中でたくさんの大人と会話をしたり、多彩な体験したり、楽しんだりすることが積み重なり、挑戦する意欲も育まれます。学習会では、たくさんのボランティアとふれあう場をつくるなどして、将来貧困の連鎖が断ち切れるような取り組みを行うようにしています。

私たちは、コロナ渦において全国の困窮子育て家庭2500世帯とつながり、定期的に情報や食糧・物資などの支援を行う「ファミリーサポート事業」も行っています。その87%が母子世帯、世帯年収200万円以下が50%。非正規雇用54%。コロナによる家庭内不和、DV、子どもの非行、不登校など複合的な影響も増えています。
この事業で延べ3万人以上を支援してきましたが、孤独、不安を抱える人が非常に多いです。食料や物資が届くことは、自分たちのことを気にかけていてくれる人がいるというメッセージにもなっているようで、皆さんから喜ばれています。
一方、「お金が足りず必要とする食料を買えないことがあった」とアンケートに回答された方は、昨年12月と比較し今年4月には13%も増えました。

また、学校に行かなくなった子どもも増えています。先日、2020年度に30日以上登校せず「不登校」とみなされた小中学生は前年度より8.2%増の19万6127人で、過去最多だったことが文部科学省の問題行動・不登校調査でわかりました。
自殺した小中高生もこの1年で100人以上も増えています。不登校の問題は学校だけでは改善できません。
日々、子どもたちと接する中で、学校を嫌がっている子への対応としてカウンセラーを学校に増やしても意味がないように感じます。
学校に行かない子もフリースクールやNPOの居場所などを利用していますので、そうした多様な学びの場に予算を付けるようにしていただきたいです。

また、本当に学校を変えるのであればトップを変えるしかないと思います。年功序列では何も変わりません。民間からリーダーシップのある人を起用しトップに据えて思い切った取り組みをしてほしいと思います。

長さん「他領域との横断的な連携により、困窮する子どもたちの支援、多様な学びの場の確保が急務と考えます」

 不登校や貧困は極めて深刻な問題ですが、家庭教育、地域の教育が期待できなくなっている今、学校も大変な状況にあり、課題解決に至っていません。
もともと教育の分野は独自性が高く、専門性が高いことに価値があるとされ、政治的な介入が難しい組織。それは戦前の反省に基づくものであり、一概に言えない部分もありますが、教育を変えることは非常に重要な課題であると考えています。そもそも教育学部が単科でやっていることに問題があると思っています。
石巻では、教育大綱に「不登校をなくす」と掲げた時がありましたが、確かにそうなったらよいですが、それは一朝一夕にはできない大きな課題であり、掲げてしまったら後戻りできないです。学校の先生だけで考えるとそうなってしまう。それよりは、より他の学びを確保するのが大事。多彩な学びの場を確保することが重要と考えます。

学校は学校で手当てが必要。教員の皆さんも大変な状況にあります。学校だけで対応するのは困難ですので、今後皆さんのような市民団体の力をお借りしながら、柔軟な考え方のできる教育長を選ぶのが重要と考えます。

さらに、地域づくりを考える上で社会教育も極めて重要です。公民館教育も教育委員会の管轄ですが、それを先生方は知らないです。
医療もですが、教育の問題も複雑化しているので、専門分野だけでなく、どれだけ他領域のことを理解しているかが重要になってきます。
医療は徐々に変わってきていますので、教育も変わっていかなければならない。そういう意識で私は教育問題にも取り組みたいと考えています。

対話の会を終えて

今回の対話を通して、さまざまな市民活動団体の現状や、現場の課題を共有できました。
また、医療行政にも詳しい長さんの視点からも、それぞれのフィールドを超え、協力したり連携したりすることの重要性を感じました。
シーソーがめざす市民活動のポータルサイトの一日も早い実現へ、想いをより強くした会となりました。

*せんだい・みやぎNPOセンター/青木ユカリさんのお話は後日掲載いたします*